編集者をつくった本

河出書房新社・阿部晴政さんが打ちのめされた本
『なぜ、植物図鑑か 中平卓馬映像論集』

編集者として中平と出会うことができたのは八五年である。写真と一緒にうけとった文章には「世界そのものの持つ力を、自ら率先して引き受けて行く」と書かれていた。『植物図鑑』の問いを中平は生きつづけていたのだ。

阿部晴政(アベハルマサ)「河出書房新社」編集者 1957年生まれ。
「文藝」編集長などをへて現在、編集顧問

朝日新聞2020年7月8日掲載
https://book.asahi.com/article/13529361

「なぜ、植物図鑑か 中平卓馬映像論集」
 中平卓馬著 筑摩書房(ちくま学芸文庫)
↓筑摩書房/紹介ページ
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480091109/

↓阿部晴政さんがこの本と中平卓馬さんについて語ったコラム
https://book.asahi.com/article/13529361

【河出書房新社・阿部晴政さんの仕事】
永山則夫「無知の涙 増補新版」 

まもなく届いたノートは異様なオーラを放っていたが、とりわけ衝撃的だったのは「無知ノ涙」と題された一冊目である。余白が漢字で埋め尽くされていて、文字を学びながら言葉をさぐりだしていく少年の生がそこから立ち上がっていくかのようだった。

阿部晴政(アベハルマサ)「河出書房新社」編集者 1957年生まれ。
「文藝」編集長などをへて現在、編集顧問

朝日新聞2020年7月1日掲載
https://book.asahi.com/article/13511544

『無知の涙 増補新版』
 永山則夫著 河出書房新社(河出文庫)
↓河出書房新社/紹介ページ
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309402758/

↓阿部晴政さんがこの本について語ったコラム
https://book.asahi.com/article/13511544

白水社・藤波健さんが
主人公の「業」の深さ、真の人間力に胸を打たれた本
『不当逮捕』 

漂いながら掴(つか)んだ本が、本田靖春の『不当逮捕』だった。濁った目が冴え、もう一晩居座り、読み続けた。……
……荒波に揉まれていた私は、本を閉じた。レコードをかけ、酒瓶を襖に投げつけた。破れた穴から、松明の火を見た気がした。

藤波健(フジナミケン) 「白水社」編集者 1962年生まれ。
『ベルリン陥落1945』『アウステルリッツ』などの編集を担当

朝日新聞2020年6月17日掲載
https://book.asahi.com/rticle/13467798

「不当逮捕」
 本田靖春著 講談社(講談社文庫)
↓講談社/紹介ページ
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000160022

↓白水社・藤波健さんがこの本について語ったコラム
https://book.asahi.com/article/13467798

白水社・藤波健さんの頭のネジが吹っ飛んだ本
『時計じかけのオレンジ(完全版)』 

学生下宿の近所の名画座で、スタンリー・キューブリック監督の映画「時計じかけのオレンジ」を観た。激烈で耽美的な映像に目を奪われ、荘厳な古典風の電子音楽とベートーベンに酔い痴れた。すぐさま、アントニイ・バージェスの原作小説を読んだ。

朝日新聞2020年6月10日掲載
https://book.asahi.com/article/13448654

「時計じかけのオレンジ〔完全版〕」
 アントニイ・バージェス著 
 乾信一郎訳 早川書房(ハヤカワepi文庫)
↓早川書房/紹介ページ
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/310052.html

↓白水社・藤波健さんがこの本について語ったコラム
https://book.asahi.com/article/13448654